2XXX年、汚染が進んだ地上を捨て、人々は地下世界で暮らしていた。純粋な植物は姿を消し、出回っているのは愛玩植物である花人間だけであった。美しい花弁を持つ花人間は観賞用兼夜の伴として上層の人間たちの間で高値で取引されていた。
薔薇の花人間である春夫もまた競売にかけられていたが、全身に棘があり迂闊に触れられないため、観賞用の個体として比較的安価でB10Fの出版社社長に落札された。社屋の窓際に飾られて内外からの視線に晒されながら、春夫はそこに集まってくる噂話をぼんやりと聞いていた。地上には強い光があって暖かいこと、透明な水が地面から湧いていること、話ができず動けない植物がいること、地上への回帰を訴えた上層の科学者が下層へ追放されたこと。次第に地上への憧れは増していった。
ある晩いつものように窓際で眠っていると奇妙な音がし、知らない人間に腕を掴まれていた。花人間が高価だと知った泥棒に盗まれそうになっていたのだった。しかし間抜けな泥棒は春夫に棘があることを知らなかった。悲鳴を上げ逃げ出した泥棒の方を見やると、いつもは施錠されているドアが開いていた。
まじめに書くの飽きたのでざっくり書きます。
行く当てもなくさまよっていた春夫はダストシュートに落ちてしまった。そこでひっそりと暮らしていた龍之介と出会う。龍之介は追放された科学者が地上の調査のためにこっそり作っていた機械人形だった。しかし科学者が死んでしまい目的を失って、ゴミ捨て場で電気を少しずつ盗みながら暮らしていた。初めて『自由』と『触っても平気な友達』を得て嬉しそうな春夫に龍之介も次第に心を許していき、春夫の「地上を見てみたい」という希望を聞いて自分が作られた理由を思い出した龍之介は、二人で地上を目指す決意をする。
監視の目を潜り抜けなんとか追っ手を撒いて地上へ出ることに成功した二人だったが、眼前に現れたのは噂に聞いた楽園ではなく、大気は汚染され酸の雨が降り、植物がわずかばかりに生えた荒廃した大地であった。やがてエネルギーが尽きて眠りについた龍之介を抱きしめたまま、春夫も枯れてしまった。その足元から生えた新しい芽はやがて成長し、腐蝕した機械人形の残骸を覆いつくしたのだった。
おわり
二人とも後悔はしてないのでこれでよかったんだよ…。あんな世界にいるよりも一緒に外に出られてよかった…。